米国で家を買う - その3

いろいろ面倒くさいのを思い出して鬱出汁脳になってきたので、とっとと終わらせよう。

ローンの契約

これが本当に面倒。
まず利息の利率の契約(rate lock)から始まる。
これは利息の利率が毎日変わるので、このレートでやりますよ、とまず最初に決めるのだ。
最終的にローン契約が結ばれるときに、レートがこれより低ければ、そちらを選ぶことができる。

さあ書類の準備だ。
基本はpre-approvalと同じで、もし収入が一か所の勤務先で、過去に住んだ家が1件だけなら、最初のpre-approvalだけでほとんど住む。
それがmortgage professorと呼ばれる審査者に渡されて、詳細にチェックされるのだ。
ここからが通常長い。
筆者の場合には、

  • どうやって米国に来た -> 前の会社のオファーレターを提出
  • 家もう一軒もってんだろ -> その家の登記情報、月々のローン、管理費、不動産税の明細などなど提出
  • 会社で株やってんな -> 会社のRSUの口座の明細、過去の取引の明細の提出
  • 海外に口座持ってんだろう -> 海外口座のリストと残高提出
  • 海外で収入あるだろう -> 海外収入の明細の提出
  • いろいろ引っ越してんな、それぞれの家にいついついた -> リスト提出
  • 〇〇〇って名前つかってんだろ? -> 米国は通り名が使えて、クレジットカード会社が間違った別の州に住んでる人を筆者の信用情報に紐づけていた、これはうんざりするほどやり取りした、はぁ

ローン会社にもよるが、これらのやり取りは通常のメールではなく、その会社ごとの個人情報保護の入った専用アカウントでやることが多い。

結婚していてTax Reportを連名で出している場合には、ローンも同様に連名で申し込むことが多い。
これがまた面倒を起こす。
書類の確認や承認など二人分やらねばならぬのだ。
はぁぁぁぁぁぁぁぁ。

この面倒な作業が終わると、ようやくローン会社がClosing Disclosureなる書類を作ってくれる。
この書類がお金のやり取りのすべてで、売買の金銭はもちろん、不動産契約手数料や登記変更手数料、今後のローンの支払いとローン支払い中の預託サービスなどの詳細をカバーする。
ちなみに契約手数料は売り手が全額負担する。
つまり売り手は、「売り手側の不動産屋」の手数料、「買い手側の不動産屋」の手数料、両方を払うのだ。
預託サービス(escrow)とは、ローン会社に委託された会社が、ローン支払いに不動産税、住宅保険、場合によっては管理費まで合算して管理してくれるサービスだ。
買い手側は毎月のローンの支払いとして、この合算された金額を払えばよく、あちらにいくら、こちらにいくら、と知らぬ間に月々の支払いが増えてしまうことがない。
ただし、当然だが不動産税などの前払いが含まれるため、月々の支払額はローン支払い額よりも多くなる。


さあ最後だ!

登記変更

登記代行会社(Title Company)に行って、山のようなサインをする。
これが終わると登記代行会社が売り手側に代金を渡し(実際にはローン会社に支払いを指示する)、同時に家の所有者の登記変更をする。
この登記情報には抵当権が記載されて、当然ながらローン会社が抵当を設定するのだ。

家の引き渡し

実はこれはあっさりしてる。
買い手側の不動産屋が売り手側の不動産屋からカギを事前にもらっておくこともあるが、「どこそこにあるから持ってって」「キーボックスに入れてある、暗証番号は〇〇〇〇」もある。
なので、一番最初にやることは鍵の交換だ!


さて、一連の投稿のなかで「あまり値引き交渉しない方がよい」と書いた。
もちろん相場より著しく高ければ、頑張って値引き交渉だ。
しかし低くするとその家の市場評価額が下がってしまうのだ。
売買情報は公的なので、「あの家はいくらいくらでいつ売れた」と皆に知れる、それが市場評価額の初期値になるのだ。
「家なんか一回買ったら売らないし、そもそも家の値段は買ったら下がるからその評価額なんて意味ないじゃん」 - それは日本の話。
米国人は一つの家に平均3年しか住まない、家族のライフステージに合わせてどんどん住み替えヤドカリなのだ。
家の値段に関して言えば、筆者が購入した家はどちらも最低でも毎年5%ずつ値上がりしている。
リーマンショックの際には住宅価格は10%ほど下がったのだが、そのあと1年で戻している。
2013年の住宅価格からすると、筆者が現在住んでいる辺りはおおよそ3倍!近くまで値上がりしているのである。
なので日本的に「安けりゃいいじゃん!」では済まない、次に売るときの価格が下がってしまうからだ。