米国で家を買う - その2

いよいよ次は家を買うプロセスだ。

銀行からローンの事前承認をもらう

お金の準備過程としては

  • 頭金を準備する
  • 銀行からローンの事前承認をもらう
  • 売買契約を結ぶ - この際に支払い能力の証明として先ほどの事前承認が書類として必要
  • 売買契約をもとに登記変更までにローンの契約を結ぶ
  • 登記変更時にローンで借りたお金を頭金とともに売り主に払う

という感じだ。
分かりやすいように日本語で書いてあるが
ローン: mortgage
事前承認: pre-approval
売買契約: sales agreement
登記変更: title closing
が英語だ。

事前承認は「この人はこれだけお金を借りる能力がありますよ」、という証明なのだが、このあたりから書類の嵐が始まる。
具体的には事前承認をもらうために

  • 前2年間の収入証明、具体的には源泉徴収票(W-2)
  • 全契約銀行の残高記録
  • 銀行が納税番号(Social SecurityNumber)の証明をもらうための申請書(SSA-89)
  • 購入予定の家の保険の見積と管理費の見積

が必要だ。
うへぇ、このあたりから後悔が始まる。

買い手側の不動産屋を見つける

米国では家を売買する際に基本は売り手側、買い手側双方が不動産屋をつけ、不動産屋どうしで価格交渉をする。
Double Agentと言って、一人で売り手・買い手の不動産屋を引き受けることもあるが、当然ながらどちらか片っ方にひいきする可能性がある。
日本と違ってマジ交渉なのだ。
それと当然ながら不動産屋はいくつもの物件を売買しているので、いろいろとコツを知っている。
家を見に行く時から一緒に見てもらい、あれはこう、これはこう、と家の見方をアドバイスしてもらえると、家購入初心者には大変助かる。
筆者は、幸い友人に不動産屋がいたので、最初の家の購入から彼に買い手側の不動産屋をお願いした。

目当ての家に売買を申し入れる

さぁ、準備万端、目当ての家に購入の申し入れ、オファーを出す。
オファーに関しては場所によって条件が変わるので何とも言えない。
あまり不動産売買が盛んでない地域なら、売値より安めで大丈夫。
筆者が住んでいるPNWやベイエリア、NYCなど人気の街では、現在は売り手市場。
週末に売りに出して、月曜日にはもう契約が決まってしまっているころもとても多い。
売値より2-3割高い値段でオファーを出しても競り負けることがある。

それと交渉はここからすでに始まっているので、いろいろと条件を付けることができる。
筆者が最初に買った家は新築で、しかも2-3か月売れていなかったので、値切った挙句に、洗濯機と乾燥機、家じゅうのブラインドをつけてもらった。
中古の家の場合には、ここを直せ、あそこを直せ、でなきゃいくら割り引け、などと交渉をする。
後で説明するが、米国では値切るよりはいろいろ直してもらったり、新品に交換してもらった方がよい。
あとはお金の払い方。
売買契約成立時に手付金を払うのだが、これをいくら払うか、ローンをつかうかどうか。
ローンだと、登記変更が終わり、売り手がお金を手に入れるまで2か月はかかる。
ローンを使わず全額現金払いの場合には、登記変更まで一週間とかからないで売り手はお金が手に入るので、それは売り手側としてはうれしいのだ。
それ以外にも細かな手数料をどちらが負担するかなど、いちおうテンプレで役割が決まっているのだが、それらを交渉のネタにする。

一時期あったのは、買い手が売り手に手紙を出すことだ。
「うちは4人家族で、〇〇〇、娘がお家をとても気に入って〇〇、家族4人でこんな素敵な家に〇〇」など夢見る少女的なお手紙をしたためるのだ。
最近、筆者の住む州ではこれが禁止になった - 情に訴えるのはダメだと。

売買契約

オファーが受け入れられたら、売買契約の締結だ。
これが結ばれると、買い手はお金を払う義務が発生する、売り手は家の権利を買い手に引き渡す義務だ。
この時に手付金を支払う。
この手付金はこの後なんらかの不具合が発生して契約を解除しなくてはならない場合に、それが買い手の瑕疵の場合には返ってこない。
そのため、売買契約から3日間だけは、猶予期間(moratorium)といって、買い手が無条件で契約解除できる条項が売買契約書には必ず含まれている。

家の検査

売買契約が結ばれたら、可及的速やかに家の検査(inspection)をしてもらう。
これは基礎が大丈夫か、雨漏りはないかなど家の構造に関する部分から、給水配管を始めとした家の設備に問題はないかなどを専門家にチェックしてもらうのだ。
米国の家は家電品が全て備え付けなので、冷暖房、温水器から冷蔵庫、洗濯機、乾燥機などの家電品まで点検が入る。
問題があれば、修理、交換、もしくは値引きなどをまた交渉する。
筆者が2件目に購入した家は家電品がどうしよもなく古く、一部は動かなかったので入居後に全部交換したのだが、それも含めた修繕代$6000(70万円近く)を売り手側に負担してもらった。