社会人としてディスプレイ業界で働き出した当時は、ちょうどノートPCにカラーの液晶が適用され出したころで、筆者の仕事もいやおうなくそれ、TFTカラー液晶であった。
筆者はそのころ大変立派なまかーであったため、技術屋としての仕事では最新の液晶を搭載したPCをいぢりながらも、ツールとしてのPCはMacintoshを使用していた。
Windows95が導入されてからしばらくすると、いわゆるWindowsノートPCが多く見られるようになった。当時のノートPCは、まだまだ実用本位、かつより大型のディスプレイという方向でポートフォリオが形成されていた。しかし若干だが、「サブノート」と呼ばれるモバイルPC製品も存在していた。松下のレッツ・ノートや、DECのDigital High-Noteが、当時の代表格と言えるだろう。しかし当時より「B5サイズで、十分な画面サイズ(当時は10.4" SVGAとしていた)、重量1kg以下で、バッテリーは最低2時間は持つこと」を目標仕様としていたため、なかなか購入にはいたらなかった。
そんな中、業務上クリーンルームにノートPCを持ち込む必要が出てきた。未だ頑なにMacintoshを使い続けていた私の手元に、ひょんなことから来たのがThinkPad535である。このPCはまさに質実剛健。重いが、乱暴な取り回しにもびくともしなかった。
当時はまだインターネットもそれほど発達しておらず、キンタマウィルスなんぞもなかったので、社外利用も大変おおらかであった。筆者はこのPCに、PDCのモデムカードを付け、9600bpsのモバイル生活を楽しんでいた。といっても、i-modeも2chもない当時、アプリケーションといえば、メールとニフティーサーブのフォーラムくらいのものであった。