何で同じUSBの口なのに充電できねぇんだよ - USB Battery Charging 仕様編

注記:筆者もちりばつなUSB専門家ではないので、嘘・あいまい・まぎらわしい内容があったらご教示下さい。

さて前振りしたUSB充電。
実は充電可能な電池(業界用語では二次電池と呼ぶ)に関しては、ラジコン業界の方がとても詳しい。
リチウムイオン電池、と一般人(いやそもそも一般人はリチウムイオン電池も認識しているかあやしい)が総称する中に、LiCo系やLiFe系がある云々までご存知だ。
そんなの業界関係者しか知らんだろうと思っていたら、いろいろホームページに書かれていてびっくりだよ、立派な逸般人だな。


話戻して。
いわゆるバッテリーと呼んでいる充電可能な電池の充電に関しては、「1C充電」という用語がある。
これはそのバッテリーを1時間で充電することで、それに必要な電流量がバッテリーを安全に充電できる最大電流量と考えられている。
例えばスマホ(大笑)のバッテリー、大体3000mAhrぐらいだ。
1C充電する場合の電流値は3000mA = 3Aとなる。
え?バッテリーの充電、一時間じゃ終わらないって?
そりゃそうさ、充電しているとどんどん電流が流せなくなるからね。
バッテリーにはもう一つ、印可してよい最大電圧というのが決まっている。
こいつは大体4V前後だ。
バッテリーが放電した状態だと、バッテリーに電流を流すときに印可する電圧は低いのだが、充電されてくるとどんどんその電圧が上がってくる。
あるところまで充電されると、1C充電の電流値を流そうとすると最大電圧にぶつかってしまう。
ここからは、最大電圧を超えない定電圧で充電しなくてはならず、充電電流が下がってしまう、なので1Cで1時間はできない。
これがいわゆるバッテリーのCC/CV充電だ。


さらに話を戻して。
世の中の皆さんすけべぇなので、携帯電話が高機能大型化してきていつもはらぺこあおむしな時に、PCのUSBの口に5Vが出ているのを見つけた。
なんだ、こんなところに携帯充電用の充電器があるじゃない。
ということで、PCのUSB口に携帯電話をぶら下げて充電するようになった。
ここからが今日の話の始まりだよ、お立合い。


そもそも論。
USBは充電器ではない。
USBはその昔存在したPCの周辺機器を接続するシリアルやパラレルのポートを置き換えるものだ。
USBのVBUS 5Vは簡便なUSB機器、例えばマウスなどに動作用の電源を供給するためのものだ。
なのでもともとの仕様として

  • 何も言わなきゃ0.1A
  • ちゃんと要求したら最大で0.5A

しか給電できなかったのだ。
しかも、かなりのノートPCはこの0.5Aが給電できず、接続した機器が電流不足でちゃんと動作しない、なんてことが当たり前だったのだ。


つまりなにか、携帯電話をPCにぶら下げても0.1Aしか充電しない?
はい、その通りでございます。
FOMAのまともな機種が出たした900シリーズ、N900iのバッテリー容量が850mAhr。
このころなら0.1Aでも問題はなかった。
なぜなら待機電流は0.02Aほどで、0.1A = 100mAでも緩やかに充電できたからだ。
スマホになってそれは一転。
0.1Aでは待機電流も賄えない。


ということで誕生したのがUSB Battery Charging (BC)。
USB充電器(と称されるもの)が、USBのデータ線(D+/D-)に細工をすることで、1.5A供給することが可能になった。
#仕様上は3Aまで流してよいのだが、かなりの充電器は仕様上で最低限カバーする必要がある1.5Aだ
仕様の詳細はUSB Battery Charging Spec 1.2を参照していただきたい。
これでマイクロUSBプラグがついている一般的なスマホ(大笑)を0.5C充電することが可能になったのだ。
しかしこれでも最大電圧は5V、iPadなど2セル、3セルを使用するものは依然として、亀のような充電をするはめになったのだ。

次回はUSB-CのPower Delivery、さーびすサービスぅ!!