子供の学校の申し込み

さてこのシリーズ、しばらくほったらかしであったが、知り合いで米国に移住されそうな方がいるので、復帰させることにした。
今回のお題は子供の学校だ。


米国は日本で言う幼稚園年長(K)から高校3年生(HS Senior)までが義務教育だ。
学校は

  • Elementary (Kから5thまで)
  • Middle (6th-8th)
  • High (9th-12th、大学に習いFreshman、Sophomore、Junior、Seniorと呼ぶ)

つまり幼稚園1年間+小学校5年間+中学校3年間+高校4年間だ。
各年度の始まりは9月からである。
満年齢で学年を定義するのは日本と同じで、幼稚園は満5歳で入ることになる、つまり日本と全く同じだ。
各年9月から翌年8月生まれが同級生だ(どの日からどの日までの定義は、州によって違いがある)、1月から8月生まれが日本で言うところの早生まれとなる。
なので、4月から8月生まれの方は、米国の学校に入ると、一年上の学年になるのだ。
4月生まれで6歳になった子は、日本だとその翌年に小学校一年生だが、米国ではその年の9月には小学校一年生になるのだ。
ただ、米国の学校では親の判断で入学を遅らせることができる。
6月から8月生まれの子が、親の判断で入学を一年遅らせるのは、よく見られることだ。


学校は、大まかに現地校、私学、日本人学校に分かれる。

現地校

文字通り、現地のお子さんの行ってらっしゃる学校。
基本的には、夏休み期間中で学校が閉まっていない限り、いつでも行って入学の申し込みができる。
書類を一枚提出、といっても成績に関することではなく、住所、親の情報や、親以外の連絡先、病気になったときのための健康保険情報やPrimary Care Doctorの情報を提供するものだ。
このときに「うちの子、まだ英語がちょっと・・・」と言えば、ELPAを受けることになる。
ELPAとはEnglish Language Proficiency Actの略で、PCでやる英語の試験である。
もちろん学年毎にレベルは異なる。
この試験である程度のスコアを取れれば、そのまま通常のクラスに入ることになる。
そうでない場合にはESL(English as Secondary Language)やELD(English Language Development)と呼ばれる特別プログラムに入る。
言語(Reading, Literature, Composition)と社会科の授業がより英語を補足する内容のものになる&いわゆる英会話学校のような授業を受けられるようになるのだ。
ただ学区によっては、全ての学校にESL/ELDがなく、特定の学校だけで提供される場合もあるので、確認が必要だ。


英語が出来ればもちろん文句なし、ビバヒル高校白書並みの生活をエンジョイしてもらえばよい。
ただ、英語が出来ないからといって、長期的に悲観する必要はない。
米国の生徒はとても大人な子も多く、困っている子を見れば、周りの生徒が寄ってたかって助けてくれる。
数年もたてば、ESL/ELDから抜けられるくらい英語も上達する。


なので親として心配しなくてはならないのは、この子は英語は大丈夫かしら、と言うことよりも、どの現地校にいれるか、だ。
義務教育は学区制なので、どの学校に行くかはどこに住んでいるかで決まってしまう。
可能ならば、アジア人の比率が多い学校にいれるのがよい。
これはアジア人は成績がよいため、学校のグレード(評価)が高いためだ。
学校のグレードがよければ、「寄付もあつまりやすく、それによって良い先生を呼ぶこともできる」。
この「」の部分は日本の公立校では信じ難いが、米国の現地校はそれだけ校長の裁量が大きいのだ。
グレードが高くとも白人が多いと、「これがビバヒル?」と勘違いするかもしれないが、間違いなくイジメのターゲットになる。
なので、ここでも書いたが、どこに住むかはとても重要なことなのだ。
各学校の人種比率、グレードは学校区のホームページに掲載されているので、住居を決める前によく確認しておくとよいだろう。


それと、現地校にはオプションスクールが学校区によっては存在する。
これは推薦制で、科学や芸術など特定の分野に特化したものだ。
この中にインターナショナル・スクールがあれば、それに通わせるのも一考だ。
また、高校によっては日本語の授業があるところもあるので、そういったところもよいだろう。
なぜなら、日本人も日本語の授業が取れるし、当たり前だがその成績はよい、さすれば成績表=GPAの見栄えがよくなる。
GPAとはGrade Point Average、日本で言うところの内申点で、これで行くことができる大学も決まるのだ。

私学

もちろん、私学も選択肢にあがるだろう、お金があれば。
米国の学費は半端なく高い。
一例を挙げると、州立の大学の一年間の学費&寮費は、東京都内の私立大学の学費&生活費(含む家賃)に匹敵する。
米国では、大学に子供を行かせるということは、毎年ベンツを購入するようなものだと揶揄するくらいだ(ベンツはそんなに安くないが)。
そして・・・私学の小中学校の学費はほぼこれと同等だと思ってよい(まぢかよ!)。
これを12年間続けるお金があれば、選択肢になるだろう。

日本人学校

全日制の日本人学校があれば、現地校の代わりに通わせることができる。
ただし米国では一部の特別な都市を除いて、日本人学校は土曜日のみの補習校だ。
補習校は、日本の国語、算数の授業を、日本と同じ進度で受けることができる。
本来は海外駐在員の子息が日本に帰った際に、日本の学校の授業に追いつきやすくする、というのが補習校の趣旨だ。
しかし、子供にとっても、親にとっても、日本語で気軽に会話ができる、心休まる場所だ。
とある駐在の方から聞いたところでは、最初のうちは英語ができないが故に現地校が地獄のようで、日本人補習校だけが楽しみだった、というお子さんもいらっしゃるとのことだ。
日本人補習校は有料だが、学費は年間で1000ドル余りと十分に安い。
土曜日も学校に行かせる、しかも早朝出発の弁当持ちは親子ともに負担だ。
しかし住居から通えるところにあるのであれば、多少無理してでも通わせた方が、親も子供もコミュニティーを作る大きな助けになるだろう。

(20160713追記)
米国の学校に入学・編入する際には、予防接種の記録の提出が必要です。
日本では義務になっていない、もしくはオプションにすらなってない予防接種もあります。
当然ですが記録は英語で提出です、日本語の母子健康手帳の写しではダメです。
お子様のいらっしゃる方は、異動が決まり次第この予防接種の記録表を入手して、対応してくださる最寄のお医者様に予防接種、及び記録表の記載をお願いしましょう。
種類によってはある程度間隔を空けなくてはならない予防接種もあるため、3-4ヶ月の期間は見ておきましょう。